40店舗と995名が動かす、関西の在宅医療体制
「処方箋を待つのではなく、患者さんのいる場所へ出ていく」というのがハートフルケアGroupの薬局の基本スタンスだ。訪問薬剤管理を1997年から手がけてきた実績を背景に、現在は関西圏で40店舗の調剤薬局を展開している。薬剤師・看護師・介護士・保育士など多様な職種の995名が同一グループ内で連携しており、事業間の情報共有がスムーズに機能する組織体制がある。基幹薬局には無菌調剤設備と大型全自動錠剤分包機を導入し、一包化やセッティングの迅速化も進んでいる。
24時間365日の訪問体制を社内の輪番制で確保している点は、在宅医療の利用者にとって安心の根拠になっている。医師の往診に同行してカンファレンスを現場で実施するケースもあり、チーム医療の一員としての薬剤師の役割を体現している。副作用の早期発見を目的としたフィジカルアセスメントも推進しており、5つの観察項目を継続的に記録することで薬剤の安全使用を確認する仕組みを整えた。
介護保険の制度設計と歩んできた25年の実績
ハートフルケアGroupが介護事業に参入したのは、介護保険制度がスタートした2000年のことだ。ケアプラン作成と福祉用具サービスを皮切りに、訪問介護、デイサービスと事業領域を着実に広げてきた。2015年に他法人から継承したデイサービスは「楽しみや」と命名され、レクリエーションや共同作業療法で利用者が日々の通いを楽しめる工夫が施されている。同年にはサービス付き高齢者向け住宅の運営も開始し、施設内に訪問介護・訪問看護の両事業所を立ち上げた。
介護サービスにユマニチュードを取り入れ、東洋医学の五味調和を活かした食事を提供するなど、ケアの思想は日常のあらゆる場面に行き渡っている。音楽テーマのレクリエーションや機能回復・維持を重視したリハビリプログラムも継続実施されており、「施設に入ってから活動量が増えた」という声が家族から届いているという。医療依存度の高い入居者への対応強化も図っており、看取りまで一貫して支援する体制が整っている。
子どもの育ちから高齢期の健康維持まで、切れ目のない支援
企業主導型保育園の運営からサービス付き高齢者向け住宅まで、ハートフルケアGroupの事業射程は人生全域をカバーする。介護が必要になる前段階の健康づくりにも注力しており、頭と身体のリハビリ型デイサービスの展開を加速させている。セルフメディケーション支援として医薬品・化粧品・衛生材料の販売を手がけており、薬局の相談窓口をインターネット対応へと進化させる計画も進んでいる。「健康サポートから終末期まで」という言葉がこのグループの事業哲学を一言で表している。
2008年に発足した医療介護ネットワーク事業部では、老人ホーム入居者紹介事業「ぴったりホーム」と医療介護コンサルタント事業を展開。地域のさまざまなニーズをサービスに繋げる機能を持っており、グループ外の医療・介護事業者との連携強化も進めている。関西エリアの地域活性を使命として掲げており、地域でリーダーシップを発揮する人材の育成にも力を入れている段階だ。
「ひとづくり」を組織戦略の核に据えた経営哲学
ハートフルケアGroupが企業ミッションに「ひとづくり・生きがいづくり」を掲げるのは、「ひとが財産」というシンプルな信念から来ている。社内研修の計画的実施、大学との共同研究、地域活動への参加を通じた人材育成を組み合わせて、外国人介護人材の養成にも取り組んでいる。人事評価の「見える化」と将来のキャリアパスの可視化を組み合わせることで、職員のモチベーション変化を促す仕組みを設計中だ。「アメーバ戦略」によって部門別のパフォーマンス評価を行い、次世代の経営者を育てる経営者養成プログラムも走っている。
個人的には、「社員とその家族が幸せだからこそ、患者さまに幸せの輪を広げられる」という一文に、このグループの人材観の本質が詰まっていると感じた。介護職のキャリアパスとして現場リーダーや施設管理職への道筋を示し、資格取得支援や内部研修を通じた専門性向上も後押しする体制が整っている。「夢を計画に落とし実現できるひとを育てる」という方針のもと、成功体験を積める機会と場の提供が継続的に行われている。


